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『時速1000字で書く技術』

 タイトルの「時速1000字」という部分に惹かれて読んだ本です。亀とまでは言わないにせよ、1000字弱しかないこの記事も一時間以上掛けて書いている遅筆なので、スピードアップのヒントでも得られればと思いました。

 著者は河合塾講師で文章アドバイザーでもある後藤禎典。

 「時速1000字」といっても驚くようなテクニックを使うわけではありません。文章作成の四つの段階、「考える」、「メモを作る」、「文章化する」、「推敲する」の各段階において効率よく作業して時間を短縮する、著者の言葉を借りるなら「プロセスの効率化」を行うことにより「時速1000字」を達成しようというものです。書くべきこと、考えるべきことを最初の段階で明確(「書くためのレシピ」というものを作る)にしておき無駄を省く。必要なことだけをするという方法で「時速1000字」に迫っていきます。最終章では、依頼されたコラムの作成過程を追いながら「時速1000字」で書く技術の見本も示しています。

 ある意味、文章作成の正攻法の発展型。良く言えば馴染みやすく、万人に受け入れやすい。悪く言いえば、この程度のことならすでに、全部では無いにせよ、やっているよという人も多いのでは。

 惜しい、というか気になるのは、第1部第2章の「わかりやすく書く技術を磨こう」と第3章の「正確に書く技術を磨こう」。執筆時間を短縮するためには基礎的な文法力も必要だということで設けられているこの二つの章はあまりに内容が陳腐です。基礎的な文法力について書けば、どうしてもステレオタイプなってしまうのかもしれません。しかし、「時速1000字」を謳う以上、その中にもほんの一片でもよいから「時速1000字」のエッセンスが盛り込まれていたほうがよかったのではないでしょうか。この二つの章は、別のタイトル、例えば「楽しい文章の書き方」とか「簡単らくらく文章術」という本があったとして、一字一句変えることなく、その本の一部となりうると思います。

 現代社会において、速く書き上げる要求が強まっているという著者の視点には同感できます。だからこそ、最初から最後まで「時速1000字」に強く焦点を当てているべきではなかったかな。文章読本が本棚に並んでいない人には薦められるとして、山と積み上げている人だと読んでも得るものは少ないかも、そんな一冊です。

時速1000字で書く技術 Book 時速1000字で書く技術

著者:後藤 禎典
販売元:すばる舎
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